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情報漏えい 対策の利用が堅調に推移

トップ100人のうち76人がPARCで働いていると言ったこともある。
実際にはTの研究室の人員が50人を超えたことはないから、どちらの数字も誇張されたものには違いない。 しかしTが指揮をとっていたあいだ、50人をはるかに超える研究者がいるかのような勢いでCSLが研究を進めたこともまた事実である。

1970年の設立から3年もたたないうちに、CSLの研究者たちは独自のタイムシェアリングシステムを作り、アルトを作り、さらにレーザープリンタやイーサネットまで発明したのである。 短期間で多くの成果をあげるために、Tは平坦な組織構造を作り上げた。
科学者から秘書にいたるまでCSLで働いている全員が、B・Tになんでも直接報告するのである。 当然、中間管理職もいない。
だが、Tは自分の限界を心得ていた。 40人から50人の研究者と110人から30人の補助スタッフ、これが彼の個人的な管理能力の限界だというのだ。
これだけの人数で世界に変革をもたらすには、全員が自分の分野で最高の人間でなければならない。 こうしてTはエリート主義者になっていき、彼が見つけた最高の人間だけを一雇うようになった。
そして新たに一雇われる人間は、未来の同僚の厳しい審査を受けなければならないことになった。 「神経系の質を検査する」ための審査である。

審査にパスして採用された人間はみな、CSLのメンバー全員の面接を受けた。 さらに、研究者の場合には討論会に出席してそれまでの自分の研究を説明し、メンバーの批判に対して反論しなければならなかった。
CSLには、研究助手は一人もいない。 CSLには、頼まれて研究する人間は一人もいない。
挑戦を受けて研究するのだ。 おとなしい人間は、CSLでは生き残れなかった。
新たに採用された研究者は普通、CSL内の別々なグループが進めている二つのプロジェクトで働くことになる。 単独で研究する人間は一人もいない。
Tは最適な組み合わせで最大の成果が得られるように、研究者をグループからグループへと移動させて常にタイプの異なる研究者を交流させた。 かつてARPAで会議を開いたように、TはCSLでも定期的にミーティングを行った。
研究者はこのミーティングに出席し、自分の研究を守らなければならないのだ。 このミーティングは、黒板が一列に並んだ特別な部屋で開かれた。
大きな布袋にスポンジを詰めたビーンバッグチェアが円形に並べられ、発表者はブラックJのディーラーのようにその真ん中に立つ。 そして、ビーンバッグチェアに座ったCSLの天才たちの批判を浴びるのだ。
そんなところから、このミーティングは「ディーラーミーティング」と呼ばれるようになった。 ここにはB・Tも立ち会い、会議の様子を高校の理科教師のように見守っている。
誰にもわからないように、ミーティングの進行をコントロールしているのは自分たちの仕事のことだけである。 B・Tのコントロールがなければ、ディーラー会議はこんなふうに進行しただろう.コンピュータおたくA(ディーラー役)「私はいま、このパターン認識の問題に取り組んでいます。
この研究は、コンピュータに印刷物の読み方を教える貴重な前例になると思うんです」コンピュータおたくB(ビーンバッグチェア組)「いいと思うよ。 でも、ぼくはいま、データ圧縮のアルゴリズムに取り組んでいるんだけどね。

たまたま昨日の夜、いい方法を思いついたんだ。 それはおわかりだろうか。
Tがいないと、ミーティングは混乱するだけである。 CSL全体の知的活動と同じく、B・Tはディーラーミーティングでも中央配電所のような機能を果たした。
アイデアや研究の流れを監視して、その両方が可能なかぎりスムーズに流れるようにする。 それがTの役割だった。
彼はコンピュータ科学者ではなかったから、彼自身が実際に研究を進めることはできない。 しかし誰が誰のために働いているかを常にはっきりさせるには、Tの触媒としての役割は欠くことのできないものだったのだ。
Tがボスだった。 だからこそ、研究者たちはCSLを「Tの研究室」と呼んだのである。
B・TがCSLの研究の方向性を定める一方で、アイデアはすべて技術スタッフから出された。 アイデアを考え、それを実際の技術に変えるのが、技術スタッフの仕事である。
それ以外のこと陸いっさいする必要がなかった。 彼らが夢を追っているあいだ、予算を組んだり、XE本社と交渉したり、研究活動が目標からそれたりしないようにするといったことは、Tがすべて面倒をみた。
しかし、Tが申請した経費がいつも簡単に通るとはかぎらなかった。 たとえばCSLが発足した当初から、研究者たちはDECのPDPImタイムシェアリングシステムを欲しがった。

エンゲルバートがスタンフォード研究所(SRI)で使っていたのがこのマシンだったからであり、ARPAネットのソフトウェアを動かすためにも必要だったからだ。 だが、苦戦してはいたがXEにもミニコンピュータ事業があった。
マックス・パレフスキーが経営するエル・セグンドのサイエンティフィック・データ・システムズ社である。 DECのコンピュータを買うのはやめて、マックスが作ったPDPIの対抗機「シグマ」を買ってはどうか。
XEにはそんな意見もあったが、マックスを買うわけにはいかなかった。 ソフトウェアのほうが、ハードウェアよりはるかに複雑だからである。
XEのマシンで走るようにソフトウェアを修正するには、膨大な時間がかかる。 それよりも、PDPIのコピーを作ったほうがずっと早い!実際、彼らはそうした。
未来のオフィスをめざすCSLの最初の仕事は、PDPI皿のクローンを作ることだったのである。 完成したコンピュータは、マルチアクセス・XE・コンピュータ(MAXC)と名づけられた。
MAXCは、マックス・パレフスキーに敬意を表してこの名前をつけたことが彼にわかるように、最後の「C」を無音にして「マックス」と読む9知識の創造にいたる道は、強力なビJから始まる。 しかしなんらかの重大な真実を解き明かすには、途中でビJの一部をきっぱりと捨て去ることも大切だ。

CSLにとって、タイムシェアリングはもともとビJの一部だった。 それが、すでにエンゲルバートのビJの一部だったからだ。
しかし自分たちでタイムシェアリングシステムを作った結果、CSLの研究者たちはタイムシェアリング自体がトラブルの一部であることに気づいた。 こうしてMAXCは捨て去られ、代わって相互にコミュニケートできるもっと小さなコンピュータのネットワークを作ることになったのである。
それがアルトだった。 Tは、コンピュータの基礎研究を行う理想的な環境を作り上げた。
今日利用されているコンピュータ技術の多くを生み出すことになる48人の研究者がいて、ビJを持った非常に優秀な管理者が彼らを率いる。 しかも、リーダーは科学篭者ではない。
これは完璧に近い組み合わせだった。 199一年、B・Gは彼が「指先に情報を」と呼ぶ新しい宗教を広めるために世界中をまわっている。
ユーザーがパーソナルコンピュータに何かしら情報を問い合わせると、その情報が手元にない場合には、コンピュータがどこでどうやって手に入れればいいかを突きとめてくれる。 これが、Gの新しいアイデアである。

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